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第11回 マザー・タング(=母語)の重要性

【森 慶太】
1966年静岡県生まれ。
筑波大卒。
自動車雑誌編集部を経て96年からフリーランスに。
著書に、「乗れるクルマ、乗ってはいけないクルマ」(三笠書房) 「『中古車選び』これだけは知っておけ!」(三笠書房)など。



なつかしき故郷のなまり

 先日、コバヤシから電話がかかってきた。コバヤシは藤枝東高校の野球部でいっしょだった私の友達で、ずっと前にこの別のコーナーで愛車のフィアット124“ピニンファリーナ”スパイダーを取材さしてもらったことがある。ちなみにその後コバヤシは124スパイダーを売り、その代金+ナニガシで155V6を買った。で、そのコバヤシいわく。

「95年のチンクエチェントの68万円っていうのがあるだけんさあ(あるんだけどさあ)」。
 ほう。
「走行2万kmだよ」
 ほうほう。
「買わっかともって(買おうかと思って)」。
 コバヤシから電話がかかってくるときは、野球部OB会のゴアンナイかクルマ買う相談と相場が決まっている。
「ちょっくら乗ってみたらよかったっきもんでさあ(ちょっと試乗してみたらよかったもんでさあ)」。
 ああそう。俺も新車の頃に乗ったことあるけど、いいよね。あれ。“スイート”って仕様でしょ?
「あーそうそう。そうだったっきやあ(そうだったよ)」。
 ちなみにベルギー仕様の並行モンね。フル装備の。OHVの……。
「そうそう。900ccのエンジンのヤツ。ちっこいクルマだと思ってバカにしてたっきけえが(バカにしてたけど)、おもしろいわ」。

 で、155はどうするの?
「それが、せっかく買ったっきけえがあんま乗ってないだよ」。
 どうして?
「なーんか構えちゃうでぇね(構えちゃうんだよね)。イマイチ、気楽に乗れんくて」。
 で、もっとちっちゃいのに乗り換えたいと。
「あと、155はエンジンはええけえが(いいけれど)、走りは164乗ったときほどはいい と思えんくてね」。
 ああまあ、それは正しいよ。うん。
「こないだモリの書いた原稿を雑貨店のホームページで見たけえが、あの155乗って る衆ら(人たち)みたいにはオレはやれんでさあ」。
  あー。
「チンクのほかにも、プントのカブリオレとかイプシロンの60万円のとかあっただけんね(あったんだけどね)」。

 それにしても、8年オチのチンクエチェントが68万円てのはねえ……。いわゆる不人気車とは違うしほしい人は絶対ほしいクルマだろうから、値付けとしてはそんなもんだろうけどさ。希少であるのは間違いないし。
「そうだよねえ」。
 だいたい、60万円払えばイタリアだったら新車のパンダが買えちゃうよ。
「なーんだ。そうかえ(そうかい)」。

 それはそうと、バモス(アシグルマ)はどうしたの? まだ乗ってる?
「こないだフィットに乗り換えただよ。もう2万5000km乗ってるよ。仕事にも使ってるもんでさあ」。
 ああ、またワタナベさん(野球部の先輩で実家がホンダのディーラーをやっている)のとこでね。
「いまワタナベさん社長だよ」
 ああそう。それはそうと、こんどオレたち、家を建てるのよ。
「あーそう。都内? すごいじゃん。じゃあ、ガラス安くしてやろうか?」。
 ありがとう。でも、すげえちっちゃい家だから。チンクエチェントみたいな。だか ら、ガラスの使用面積なんてタカ知れてるし。
「とにかく、チンク買ったらまた連絡するわ。じゃーねー」。

 

どんな言葉で作られたクルマか


 ということで、まことにどーもスイマセン。静岡中部地方のコトバがなつかしくて、つい書いてしまいました。コバヤシがホントにチンクエチェントを買ったアカツキには、ゼヒとも取材さしてもらいに行こうと思っております。コバヤシほんと、いいヤツなのよ。中古イタ車を買うのが好きで、オートバイ(専攻ビモータ)を買うのも好きで、あとキャ○クラに行くのもすごい好きという。

 もうちょっと一般向けの情報として147の左のMTなんすけど、ヤッパリというかよーござんしたよ。ポジションはキッチリ出てるし(この点は右がよくないってことはないけど)ブレーキペダルの踏み応えはしっかりしてるしで、ほとんどいうことなし。とっくにアタリマエになってるといえばそうなんだけど、しばらく間を置いて乗ってみて品質感の高さにもあらためて驚かされた。

 なんしろ静かだし、乗り心地はいいし、ヘンな軋み音とか聞こえてこないし、ハンドルやシフトレバーの感触はありがたみたっぷりだし。147から乗り換えたら、ほとんどの静岡中部地方出身者は「国産車っておぞいな」っていうと思う。

  ちなみに、「おぞい」っていうのは品質のよくないことや状態が悪いことを表現するときに使う言葉。ものすごく「おぞい」ときは「おーんぞい」というとバッチグー。ヤローっぽい感じを出したければ「おぜえ」ないし「おーんぜえ」といいましょう。

 たとえばフォルクスワーゲンとかのエンジニアにインタビューをする。と、多くの場合彼は「ドイツ語で話しいいか?」ときいてくる。こないだアルピナのプロダクション・マネージャーに話きいたときもそうだった。もちろん、ちゃんと通訳がいるわけだけど。これがたとえばボルボやサーブの人だと、ナンの躊躇もなく英語で話してくれる。なんだけど、彼らエンジニアどうしが会話するときはスウェーデン語を使ってる。アルファのエンジニアと話したことはまだないけど、きっと彼らはイタリア語でクルマを作っている。同様に、プジョーやルノーはフランス語でしょうね。

  日本でいうと、マツダのクルマはほぼ間違いなく広島弁(+英語)で作られている。あと、ダンロップもかなりご当地(岡山だったと思う)言葉の濃度が高い。反対に、トヨタや日産やホンダやブリヂストンにはあまり、ないしはほとんど地方色が感じられない。で、そのことと関係あるのかどうかわからないけど、マツダのクルマとダンロップのタイヤは国産としては個人的に憎くない。マトモだし、なんというかアツいハートがある感じがして。


どんな言葉でそのクルマを語るか

 要はアレです。自分の言葉、という問題。マザー・タング=母語。クルマは機械だからそれを作るうえで数字というインターナショナル&ユニヴァーサルな言語がものすごく重要であるのはもちろんだけど、数字じゃないいわゆる言語というのは思考そのものに欠かせない道具である。というか、言葉を使わないと人間は考えることが(基本的に)できない。母語じゃない公用語としての英語で作られたクルマとか、自分のホントの言葉じゃない標準日本語で作られたクルマって、なんかツマランのじゃないか? もしかして。

 あるいはたとえば、日本語のなかに半ばしょうがなく混じってきちゃう英語ね。「操舵の(あるいは加速の)リニアリティが……」とかいわれても、私あたりはいまいちピンと

こない。なんだかひとごとみたいで。英語じゃなくても、「(ステアリングの)中立付近の剛性感」なんてのはヨーワカラン。心にググッと響いてこない。どこぞのセンセーのお書きになったインプレとかメーカーのカタログとかを読んでそう思ったこと、ありませんか? その点、標準の日本語でも昔の広告の言葉はよかった。「丈夫で使いやすい」とか(笑)。心が洗われる思い。

 何年か前、英国のクルマ雑誌でゴルフVR6を評した「ヴェルヴェット・パンチ」っていうキメの一言を読んでハッとしたことがある。上手いこと日本語に翻訳できなくて申しわけないんだけど、まさにそれ以外ない!って感じですよ。ゴルフVR6=ヴェルヴェット・パンチ。かなり気取ってはいるんだけど、言葉そのものはめちゃくちゃシンプル。しかも、的のド真ん中を射抜いた表現。いやオミゴト。それ読んで私は、「日本語、負けてる」と思ってしまった。より正確には「私の日本語は負けてる」なんだろうけど。

 えーさて。アルファ147はまず間違いなくイタリア語で作られたクルマだけど、日本語しか知らない私らにとってもきわめてイージーに話が通じるクルマだと思う。たとえば、「このエンジン、サイコーだろ?」とクルマにきかれてオーイエー。「シートの掛け心地、ゴキゲンだろ?」オーイエー。「運転しやすいだろ?」オーイエー。「快適だろ?」オーイエー。オーイエーでオッケーオッケー。ところで、イタリア語で「イエス」ってナンていえばいいんでしょうか? チャオ? 違うか。

  その点問題なのは、一部というか多くの日本車だわね。「シートクッションは使用箇所に応じてたわみ特性を最適化し体圧分布を改善しました」っていわれて「はぁ?」。「可変バルブタイミングシステムの採用により全域でリニアリティあふれる加速特性を……」っていわれて「そうなの?」。その一方で、乗ってる私の身体の奥のほうからは「ヤだこれ」っていう声が聞こえてくるわけですよ。話、通じない通じない。





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