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こないだ書いたトヨタ・アヴェンシス試乗記に対して、「モリケータにしては珍し くマジメにインプレをやっている」みたいな感想をeメールでいただいたそうで。
わっはっは。
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| ターボはなくてもエンジンルームはけっこうお腹いっぱい。 |
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| リアサスのクローズアップ。横方向に2本の平行すなわちパラレルな2本のリンクと、あと前後方向のトルクを受けるトレーリングリンク。 |
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| 細かい話であれだけど、レタリングの書体や色もセンスがよくてたまらない。個人的には、コンピューターとかオーディオ機器とかいろんなもの全部がこういうテイストでまとまってる環境に強く憧れますね
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| 使ってるデジカメがコダック(DC4800)じゃなくキヤノン(パワーショットA30)なんで、画角はこれがせいいっぱい。車内(後席)から撮るとなると。 |
そういう反応みたいなのの少なくとも一部は雑貨店からワタシんとこへ転送されてるんで、読んでますよ。で、忘れてないかぎりはお礼なり返事なりをするようにしております。なんで、「死ね」とかそういうのでなければどんどんメールで送ってください。ショーバイの参考にもさせていただきますんで。あと、最近すっかり忘れてたクイズもまた頑張ってやるようにします。商品はそれなり溜まってるんだけど、クイズのネタがなくてどうも。てゆうかネタ探しをサボってるだけだけど。
えー今回はこれです。ランチア・プリズマ。正確にはインテグラーレ。
どういうクルマかというと、基本的にデルタ+独立トランク。要はゴルフに対するヴェント、いまはボーラか、みたいなもん。デルタが出たのはたしか1979年で、つまりゴルフ�気凌�年後=ゴルフ�兇凌�年前。デザイン(いわゆるパッケージングまでたぶん含めて)は見ただけでわかる人はわかるジョルジェット・ジウジアーロ。インテグラーレ=4WDはこれも基本的にデルタのと同じフルタイム式で、ただしプリズマの場合はマニュアルの機械式のリアデフのロック機構がついている。エンジンは、例によってというかランプレディ設計のベルト駆動DOHCの4気筒2.0。5MT。雑貨店によく来てるらしいカーシマさんという男性がオーナーで、その彼が今回の取材の機会を我々に与えてくれました。
ちなみにこれ、1986年型の個体です。「ヨンクなのになんて楽しいんだ!」ってことでギョーカイを騒然とさせた伝説の1台にして一連のデルタ・インテグラーレのイッパツ目だったデルタHF4WDが出たのはたしか1987年で、つまりそれより先にこっちがあった。
再びちなみにカーシマさん、このプリズマのほかにアルファのジュニアZももっている。エンスー。むしろプリズマよりそっち乗ってきてほしかったぐらいですよ。あーいやいや。この4年間所有しつづけているプリズマはご友人から譲り受けたもので、「乗ってみたらすっかり気に入っちゃって」だそうだ。
この、「乗ったらすっかり……」というところがまずイイ。なんだかよくわからないけどとりあえず試してみるか、という柔軟な、英語で言うとフレキシブルなココロが大事だとワタシは思う。もちろん、それで「やっぱ好きくないわこれ」ってなることもリクツ上はあるわけだけど。
外観に負けず劣らず、カーシマさんのプリズマはなかも程度がよかった。ハチロクのプリズマなんてもうほかに較べる個体も残ってないんで、これは世界チャンピオンといってもいいかもしれない。クルマ雑誌のバカな編集あたりがすぐ書きたがる「ゼニアの……」ファブリックではない運転席の座面はまだフッカフカで、あとなによりエアコンがバッチリ効いた(笑)。それはカーシマさん的にジマンのポイントのひとつだそうですが。
ここでひとつマメ知識として、最近ACデルコ(GM系の自動車用品メーカー)からR12(つまり昔の冷媒)のリプレイスとして使えてR134Aより地球に優しくておまけに冷房の性能までアップしちゃうという夢のような製品が発売されました。知り合いの某クルマ屋さんによるとR12(デッドストックってこと?)っていま1缶4000円ぐらいに高騰してるらしくて、しかもそれが1台ぶんで4缶ぐらい要るらしい。だからこれ、すごくいい話でしょ?
えーそれでプリズマなんすけど。
エンジンのマウントやギアチェンジやクラッチのリンケージのコンディションが新車時同様……ってことはまずないだろうってこともあって、チョイ乗りしたワタシにとってはギックン系のシェイクを出さずに運転するのがちょっと難しかった。あとで横のっけてもらったらカーシマさんの運転のほうがずっとキレイだった。陽気なイタ公の気分になってドライブすると運転者とクルマの相性がよくなる感じだったけど、極力おとなしく走らせるのがワタシの流儀ってこともあって。
それはいいとして、やっぱ気になるのはランチアの走りっぷりですよ。初代FFファミリアをはじめ80年代初頭あたりの国産FF車に多大な影響を与えたランチアのシャシー(端的にはパラレルリンクを使ったストラット式のリアサスがキモ)の特性はいかなるもんか。って実はワタシ、ずっと前にここのコラムの取材でベータ・スパイダーに乗らしてもらってそのへん感心した経験があるんすけどね。
初期の、あるいは昔のFF車に顕著だったといわれているガンコなアンダーステア(および、それと表裏一体のいわゆる唐突なタックイン)方面にどう対処してるかっていうところが興味の焦点。だからってギャーギャーとばしたわけじゃないけど全然。
印象として、プリズマのリアサスはあまりガンコに踏ん張らず素直に後ろついて回ってくる感じであったですよ。アタリマエっちゃあそうだけど、初代ゴルフ以来いまではすっかりアタリマエになったいわゆるコンパウンド・クランクの半独立とは違っていかにも長〜い横リンクを使った独立懸架の感じがノーコーにあって嬉しい。
似たような形式のリアサスを使った当時の日本車と較べるとストロークがキレイにかつ豊かに出ている感じで、要するに優雅なのよ。動きが。でまた他方、フニャ〜ッと腰砕けな感じ(出たての頃のプジョー206あたりにはこれがあった)も別になくて、なんというか非常に気持ちいい、あるいは演出クサさのないナチュラルでコワくないニュートラルステアっぽさがありましたね。
日本のメーカーがパラレルリンク・ストラットのリアサスでよく使ったテとして2本のパラレルリンクの長さをビミョーに違えてバンプ→トーインに動かすっていうのがあったんだけど、それをこのプリズマではやってないみたいだった。後輪のトー角は真っ直ぐで一定、という感じで。あと気のせいか、ロールの軸があんまり前下がりじゃなかったような。つまり、いわゆる平行ロール気味の動き、じゃなかったかな違ったかなといまになって思い出そうとしてるんだけど。
要するに、20何年前のFF車としてこれだけキレイな走りをするシャシーをモノにしてたのはさすがランチア、すごいなと。それと、なんていうかFFのいい走りをどうやったら実現できるかちゃんと自分たちで考えた形跡が濃厚にある。後に日本車の多くがマネしたゴルフや、あるいは独特のアジを見せる205以降のプジョーのものともハッキリ違ってて。
そういえば、今回のプリズマはヨンクでしたね。いまにして思えば、いわゆるヨンクくささって全然なかったなあ。素直に曲がってくれてたなあ。でも、ヨンクならではの安心感もそこはかとなくあったなあ。デルタ=4WDの楽しさをわりとハッキリ想像できるものでもあったなあ。ちなみに、カーシマさんによるとリアデフをロックすると普通の舗装路ではフツーには走れない感じになるらしい。逆にそれ、頼もしいですわね。イザというときのためのメカとしては。
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| 17年たってもフカッと気持ちいい運転席。エルなんとかゼニア(ほんとはゼーニャっていったほうが近いんじゃないか?)の布じゃないけどセンスよし。 |
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リアデフのロック/アンロックのスイッチはこれです。乗って目の前見渡せば誰でも
すぐわかるけど。 |
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| こちらはフロントサスのクローズアップ。テンションロッド様の部材とL字型のアームをボルトで結合して全体としてAアームを形成させている、といえばいいのかな。 |
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あとそう。もっというと、今回体験したプリズマの走りはちょっと前乗ったリブラの走りとの間にめちゃめちゃハッキリ血縁があるなと思った。たとえばの話、アイススケートの上手な人が片側の足をカルく持ち上げながらスーッとループを描くような感じ。高級なのよ。アツい系激しい系じゃないんだけどスポーティで。
唐突さはないけどキレはいいステアリングのアクションでスッとロールさせたら、あとはそれをキレイにキープして曲がる。途中、ギコギコしたヘンな入力はしない(ほうがいいってことがちゃんとわかるようにインターフェイスの特性も作り込んである)。そういう意味でインテリジェンス溢れる系でもある。
また話が横道それちゃうけど、その点アルファあたりはまた違う。アルファの場合、走りというか曲がりのキャラはイメージとしてはそう、野球でピッチャーがさあ投げるぞってなったときに野手がスッとカルく身構えるみたいな感じになって曲がる。156あたりはハッキリそうでしょう。
じゃあフィアットはというと、これは簡単にいってライトバン系。いい意味で(笑)。運動会でヨーイドンする前に靴のヒモをキツめにギュッと締め直す、みたいな感じか。サスペンションは、その設計からしてスペース効率のプライオリティがアルファやランチアの場合より高かったりして。で、そういうキャラを走り重視方向でツメてくと、たとえばホットハッチ界のイノシシと呼ばれる(ってワタシが勝手に呼んでんだけど)かのリトモ130TCみたいなクルマができあがる。
ナニがいいたいかというと、ランチアやアルファやフィアットのクルマは単にアシがカタいとかソフトだとかハンドルがクイックだとかスローだとかのレベルよりもっと深いとこで走りのキャラがちゃんと違ってるということですね。なんというか、人間
のパーソナリティの違いにたとえてもよさそうな感じで。
もちろん外観や内装の調度のセンスの違いもあるんだけど、そういう意味でイタ車ってのはいわゆるブランドのアイデンティティが個々にちゃんと確立されてますよ。最近のクルマでいっても、ビジネスマンの皆さんが会議してヒネり出したような作り分けっていうんじゃなくて「俺たちゃこうなんだ」ってのが最初にまずある。元々ある。その結果として、出来上がりも当然違ってくる。
アルファやランチアって組織としての独立した実体はもうないらしいんだけど、それでもクルマがちゃんと違う。各々にパーソナリティがしっかりある。エラいねえ。その点たとえばワーゲンやアウディあたりは、少なくとも走りのキャラに関してはカタいかヤワいかクイックかスローかのレベルに留まってますよ。ブランドっちゅうものを、いってしまえば皮相なレベルでしか理解していない。
ただ一方で、ショーバイのことを考えたらランチアってのはツラいですよ。なぜなら、乗ってどうこう全然関係なしにバカでもわかるような種類の違いやエラさを出しにくいから。ていうか、バカでもわかるの正反対だからねえ本来ランチアのよさって。
このプリズマにしても、結局のとこあんまし、あるいはほとんど理解はされなかったわけじゃないですか。それこそ、「シートの布がゼニアでステキ」ぐらいのところでしか。しょうがないっちゃあしょうがないんだけど、でも今回乗って、あらためて「昔っからこうだったんだなあランチアは」って思ったですよ。なんというか、上品で高級なFFの走りってものをマジメに追い求めてたことがわかる。
でそういうことがわかると、なんていうか信用が深まりますよ。ランチアというブランドに対して。たんにいまの製品がいい悪いっていうところから、ちょっと理解にパースペクティブがついて立体的になって。でもってそれは、いうまでもないことだけどストラトスやインテグラーレ・エボのランチアとはまた違ったランチア像で。
仕事柄ゆえの役得といえばそうだけど、ワタシが古いクルマに乗って「よかったなあ」って思うのはこういう収穫があったときですよ。で、そのことをいいたくてこういうワケのわかんない試乗記(なのかナンなのか)を書くという。でもってゲンコーリョーまでいただいちゃうという。
ほんと、自動車ライターはヤメラレマヘン。こんなの、ほとんど仕事とはいえないですよ。だって勉強しながらカネもらえるんだから。オマエは奨学生かっていう。しかも、もらったぶんあとで返済しなくていいし。というわけでカーシマさん、貴重な体験をどうもありがとうございました。またこんど、ジュニアZもぜひチョイ乗りさしてくださいね。 |