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人生とクルマ
クルマに見とれるなんて久しぶりのことでした。
右側からスッと現れたそのクルマはポルシェ。落ち着いた色合いのモスグリーンでした。ポルシェとモスグリーンという組み合わせにまず「おっ!」と思い、運転席の男性を見てまたまた「おっ!!」と思いました。
気になるクルマを見ると、やっぱりどんな人が運転してるのかな? って視線が自然とそっちに向かいますよね。わたしは絶対見ちゃいます(チラッとですけど)。
その日に出くわしたクルマは、わたしが今まで見たことのないようなシックなポルシェだったので、ついつい運転席に目が行きました。そこに乗っていた方は推定年齢70歳前後の男性。肌触りの良さそうな帽子をかぶり、ツイードのジャケットを着ていました。ちょっと英国紳士風。LEONに出て来そうなちょいワルな感じじゃなくて、きれいなおじいちゃまでした。
すごく、なんて言うのかな、ホントにすごくかっこよかったんです。「わ〜っかっこいい!!」って思って、左に曲がったそのポルシェの後ろ姿をしばらく目で追ってしまいました……。
どんなクルマを選ぶかは、その人の年齢や置かれている環境で変わりますよね。若い頃はとにかくスピードが出るクルマがいいとか、かっこいいSpiderがいいとか、そういうことでクルマを選んだりします。でも例えば結婚して子供が生まれたら、2人しか乗れないクルマではことが足りなくなります。見た目やスピードじゃなくて、足としての機能や、荷物が多く載るかどうか、ということが重要になってくるんですよね。みなさんの中でも、故障するクルマは嫌だって、ご家族の反対を受けたことのある方いらっしゃるでしょ。そんなお話もよく耳にします。
クルマと人生ってすごく密接。その時自分が乗っていたクルマを思い出すと、時代の空気が一緒に蘇ります。いろんな理由があって、その時代を生きていた自分はそのクルマを選んだんですから。このクルマに乗ってた時はあの人と付き合ってたなとか、子供が生まれた頃だったなとか。
街角で見かけた素敵なおじいちゃまも、きっとそういうクルマとの人生があったはずです。荷物や家族をたくさん載せるためにワゴンに乗ってたことがあったかも。でも今、年齢を重ねて、大きなトランクなんて必要なくなって、ひとりでポルシェに乗ってる――。
自分はそんな風にかっこよく年を重ねられるだろうか? いろいろ考えさせられました。
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13:55 by たまご |
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