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イタリア車のある風景
イタリア自動車雑貨店で働いていると、当然のことではありますが、イタリアのクルマに免疫ができます。街で見かけたらオッと驚くような名車、旧車、レア車であっても、最近は、ふーんで済ませるぐらいになりました。これが目が肥えた、っていうことなのでしょうか。
先日も、当店の前の新宿通りにSZがずらりと並ぶという世間的には相当な珍現象が起こりましたが、それほどびっくりはしませんでした。それは他の当店スタッフも同じようで、やっぱり慣れって怖いなあ、と思ったものです。まあ、イタ車密度が恐ろしく高い店舗前で、いちいちクルマの観察をしていたんでは仕事になりませんからね。
ところが、東京四谷新宿通りをひとたび離れて、遠い旅先でイタリア車を見ると、妙に感傷的な気分になったりします。普段暮らしている東京の街並みとアルファロメオやフェラーリが分かち難く結びついているので、旅先でイタリア車を見るとその公式が破られてしまうからなのでしょう。
そう、いつだったか冬の奥飛騨を訪ねたとき、雪かきの雪が路傍に積み上げられた町で、ブルーのアルファ147に遭遇したことがありました。ルーフに雪を積もらせて、スタッドレスを履いた147の姿が脳裏に焼きついて離れなかった記憶があります。きっと、見慣れたアルファと私にとって非日常である一面の銀世界の組み合わせが、妙な違和感をもたらしたんだろうと思います。
どこかに旅するとき、その地の風景にたたずむ自分の愛車を想像すると、旅する楽しさも倍増って感じです。さて、世間はもうすぐゴールデンウィークですが、旅行前のそんな妄想もまた楽しいかもしれません。
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10:56 by 鶴仙人 |
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