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箱に願いを
毎日、こんなに素敵なモノに囲まれて仕事をするなんて楽しそうですね。
お客様からそんなお声を頂戴することがあります。
もちろん! 楽しくないわけないじゃないですか。
イタリアから届いた梱包を開け、中のものをひとつひとつ確かめるとき。
ワクワクします。そして緊張します。(いろんな意味で……)
まるで、さっきまでサーキットで走っていたFerrariから取り外したばかり! なんて思う部品が出てきたり、
真っ暗な倉庫に、何十年も眠っていたような書籍が飛び出してきたりすると……。
思わずシゴトを忘れてしまう瞬間です。
ニヤニヤしてるんだと思います。きっと。だって、他のスタッフが寄ってきませんから。
ブツブツつぶやいているんだと思います。だって、遠くでクスクス笑う声が聞こえますから。
そうやってひとつひとつ、「おおぉっ!」だの「かっこいいー!」だの言っている間にどんどん時間は過ぎていってしまうのです。
このバンク角は65度。美しすぎるV12! なんてウットリしている僕の後ろで、「早くやれよ!」みんな、そう思っているに違いありません。
でもねぇ、それだけじゃないんです。ビックリするようなことが起きるんです。
「カラカラガシャン……」箱を持った瞬間感じるイヤな予感。
隣の家に配達するわけじゃないんだからさぁ。古新聞でもいいから、なんか詰めてくれよ。
昨日はこんなことがありました。
お店でジャケットを試着したお客様、「サイズはバッチリだけど、ポケットが……」
「うっ!」ポケットに手を入れると、袋状の部分が背中に向かって開いているではありませんか!
デザイン100点、使いにくさも100点。
イタリア人に電話したくなる瞬間です。
おっ、また何か届きました。
お願いだから、ワッペンがまっすぐ貼ってありますように。
そう願いながら開けてみることにします。
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13:50 by ジョナタン |
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