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カーナビ事件
昨年の11月の末、ここトリノから日本へ帰る前々日、事務所の前に停めたクルマの、その運転席側のサイドウィンドウを割られました。それも白昼堂々とです。荷物を降ろして事務所に運び入れているわずか5分ほどの間の出来事でした。クルマに戻って粉々になったサイドウィンドウを見た瞬間に、ああ、カーナビだ、と悟りました。案の定、カーナビはきれいさっぱりなくなっていました。
ちょっと説明が必要かもしれませんね。こちらではカーナビ装着車はまだまだ少数派です。新車を購入するときに、高価なオプションであるカーナビを選ぶ人はほとんどいませんし、アフターマーケットでも日本のように高機能なカーナビがいろいろあるわけでもありません。ここ1、2年でようやく簡易なポータブル式のカーナビが市民権を得てきたような状況です。
そのカーナビが狙われているのです。ポータブル式ですから、普通クルマから降りる際には外すのが常識なのです、こちらでは。日本でだったらどうでしょうか。わずか5、6分停めておくのに、わざわざ外さないでしょう。僕は日本人なので、どうしても日本にいるときの感覚が抜けません。そんな油断を衝かれたわけです。買い換えて1ヶ月も使っていないのに、なくなってしまいました。それもサイドウィンドウ破壊のオマケを残して。
サイドウィンドウは保険で直しました。こんなことが日常茶飯事であるイタリアでは、自動車ガラス屋に行けばどんな車種のものであろうと在庫ありです。作業も速く、タイミングさえ合えば待ってる間に元通りです。でも、精神的には落ち込みます。イヤな国にいるなぁ、と今回はつくづく思いました。窓辺に干しておいたスニーカーが盗まれて日が経っていなかったのでなおさらでした。なんか、すごく貧しいなぁと、そんなに欲しけりゃ全部やるから持ってけよと、もう好きなようにしろ、ってぐらいの気持になりました。
そんな気持のまま日本に帰ってきて、クリスマスを控えた12月のある日。取引先のロベルトさんからメールが届きました。そこには「今年のクリスマスプレゼントはカーナビにするよ」とあり、SONYのカーナビの写真が添付されています。「欲しかったのはこれか? 返事をくれ」とメールは結ばれていました。今回のカーナビ事件の翌日、怒りに任せてロベルトさんに、イタリアなんてこりごりだ、みたいなことをまくし立てていました。その時に、次はSONYを買う、と妙な立ち直りも見せていたのです。それでこのメールです。嬉しかったです。でも、欲しいのは添付の写真の機種ではありませんでした。それよりひとつグレードが上のものが欲しかったのです。
さんざん迷ったのですが、返信には「僕が欲しいのはそれではなくて、これです」と写真を添付しました。そうしたら、「任せておけ」とすぐにまた返事が来ました。で、今回、1月15日にこちらに戻ってきたら、本当に渡されたのです。SONY NAV-U93T。ああ、これ、これ、これが欲しかったんだよ。ほんとは前のミシュラン製のやつ、買ったばかりだったけどちょっと失敗したかな、と思ってたので、なんかバッチリって感じです。ミシュランのは陽射しがモニターを直撃するとまったく見えなくなるからね、あんなの盗られてよかったよ、といい気なもんモード全開です。
で、このNAV-U93T。スピード取締カメラの場所は教えてくれるし、BLUETOOTHのハンズフリーも付いてるし、陽射し直撃もなんのその。やっぱり日本製、たいしたもんです。とても気に入りました。これで3台目のカーナビですが、これがベストです。災い転じて福。ミシュランより100倍いいぜ、と溜飲を下げています。
それにしても、サイドウィンドウです。速攻で直してくれたのはいいのですが、ドアの内部で割れたガラスがガシャガシャいってます。普通こういうのガラス交換のときに取り去るでしょ。イタリアじゃ取らないんですね。信じられない国です。今でもドアを開け閉めするたびに、水抜き穴のところからガラスの破片が落ちてきます。バンッと閉めるとガシャッといいます。その音を聞くたびに、コレでいいのかイタリア、とやっぱり怒りが沸々と湧き上がってきます。でも、NAV-U93Tは最高です。
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12:16 by サンサロ |
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