|
|
プロディの荒療治
中道右派のベルルスコーニ政権から中道左派のプロディ政権へ。今年4月の総選挙で僅差ではありましたがイタリア国民はプロディに軍配を上げました。がしかし、先週発表された新たな税制の施行が、ここにきて大きな問題を孕んできました。
56!もの新税が施行されます。クルマに関したところで目をひくのは、SUV(多目的スポーツビークル)に該当するクルマに特別の税金を課すというものがあります。つまり、現在、イタリアでも大人気のBMWのX3やX5をはじめとする同種のクルマは、他のクルマに比べて一段と税金が高くなるのです。理由は道路の占有率が高く、本来の用途とは異なって贅沢な使い方をされているから、というものらしいです。ちなみに、FIATグループには現在のところ該当車種はありません。
う〜ん、なんとも素直には飲み込めないなぁ、というのが正直なところですが、プロディ政権は財政の建て直しを増税によって完遂しようと本気で腰を入れ始めたようです。あとですね、これはちょっと、エッ!と絶句ものなのですが、150ユーロ以上の買い物は、バンコマットカード(Jデビットのようなもの)、クレジットカード、あるいは小切手でしか出来なくなるというのがあります。なぜこんなことをするかというと、客が現金で支払うと店がレジも打たずに売上除外しやすいからなんです。
現在でもそれを摘発するために、経済警察が店から出てきた客にレシートを見せるように要求することがあります。最近はこれが非常に多いです。もし、そこで客がレシートを持っていなかったら、つまり、店がきちんとレジを打たずにいたら、即刻営業停止処分が下されます。こうやって正式に売上に計上せずに得る収入をNERO(黒)と言いますが、特に南イタリアは「真っ黒」だそうです。しかし、経済警察による監視にも限度があるので、150ユーロ以上の買い物は証拠が残るカードで、ということになるようです。もちろんクルマなど登録が伴うものはすぐに足がつくのでこの限りではありませんが。それにしてもいくら税逃れ許すまじ!にしても、強烈な施策です。
トリノ市内ではアフリカ移民による大暴動も起こりました。パリであったのと同じように、クルマに火を放ち、多数の負傷者が出ました。それを横目にイタリア人たちは沸点に達しそうな怒りをどうにか抑えてはいますが、プロディ政権の荒療治が行き過ぎると、いつそれが爆発するかもしれません。生活は以前にも増してつましくなっているように思います。写真はショッピングセンターに併設されたレストラン・コーナー。ファーストフードに毛が生えたようなものですが、安くあがるだけあって、ここだけはいつも満員です。美食の国のイタリア人にとっても、普通のレストランがどんどん高嶺の花になりつつあります。
|
11:33 by サンサロ |
|
|