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BARATTI & MILANO
ワールドカップ、イタリアの試合は知人の家の大きなテレビや、ピッツェリアのもっと大きな液晶モニターで、それはそれはもう全部見ました。残り1試合、日曜日の決勝戦も、取引先の社長の家のフカフカのソファーに沈みこんで、みんなと一緒に足をバタバタさせて声をからしていることでしょう。
それにしても、ドイツ戦の夜は凄かった。ドイツへの積年の怨念が一挙に噴き出しました。ピザとスパゲッティだけじゃないぞ! 勝利の瞬間、ドイツ人のイタリア観を槍玉にあげて、イタリアの友人たちは顔を真っ赤に紅潮させて叫んでいました。試合終了の真夜中12時過ぎから、道路という道路はイタリア国旗を窓から突き出し、間断なくクラクションの洪水を浴びせかけるクルマで、まさに首都陥落、終戦を告げる解放区のようなありさまです。そうです、これはきっと戦争なのです。
決勝戦を前にして、すでに代表選手たちは、凱旋の兵士、英雄です。もの静かで控えめ、黄昏のデルピエロはもちろんいいけれど、僕はどちらかというと、賭博にのめりこんで借金まみれのブフォンや、身体の奥深く流れるアルゼンチンの血を隠しようもない、素浪人のような風情のカモラネージがいいです。フォワードが相手陣内奥深くに攻め込む刹那、減らない借金にうつむくブフォン。アンデスをわたる風、パンパの土埃の中に見え隠れする背番号16、カモラネージ。なんてね、いいです、ワールドカップ、いろんな男がいます。
で、僕はきょう、突然の豪雨の中、仕事の合間を縫って、チェントロの『BARATTI & MILANO』に急ぎました。BARATTIとMILANO、ふたりの創業者の名が店名になっているここは1858年創業、かつての王家御用達、トリノでも老舗のバールです。どうしてもここのコーヒーカップが欲しくて、とうとう買いに行ったのです。手に入れました。四谷の店に飾ります。エスプレッソをダブルで飲むのにちょうど良い大きさ。そういえば、デル・ピエロがひとりポツンとエスプレッソを立ち飲みしていたのもこの店でした。
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09:18 by サンサロ |
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