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いつも笑ってる
いやあ、優勝しましたね、イタリア。こちらではその瞬間から今このときにいたるまで、大騒ぎが続いています。僕は優勝の瞬間をトリノ郊外のトロファレッロという街にある知人の家で、そこに集まったどこの誰かもわからない人たちと一緒に迎えました。が、テレビの前の観戦もさることながら、さらにタイヘンだったのは、そこからアパートへ向かう帰り道。普段なら深夜の時間、まあ、クルマで20分もあれば帰り着く道のりに、なんと2時間強もかかったのです。
もう道路と言う道路がイタリア国旗をたなびかせたクルマの洪水です。沿道も家々から出てきた国旗を持つ人々でぎっしり埋まっています。旗を持っていたほうが安全だから、と帰り際に知人から渡されたイタリア国旗を、僕もリアのウィンドウガラスに挟んで「行進」、まったくひとりで何やってんだろう、と最初は妙に冷静だったくせに、途中から沿道に手なんか振っちゃって、もうその場の雰囲気にバッチリはまっていました、はい。その朝、せっかく洗車したクルマも発泡ワインのシャワーを浴びて、ベトベトになって帰還。旗はどこかに飛んじゃってました。
明けて翌日、凱旋兵士がローマに到着。イタリア政府主催の公式歓迎行事のあと、屋外で行われたメインイベントは“ROMA RINGRAZIA GLI AZZURRI”(ローマはイタリア選手に感謝の意を捧げる)。なんと数十万人(!)の参加者の前にイタリアの選手が黄金のトロフィーを掲げて現れました。これが延々と数時間も続き、テレビはそのすべてを実況します。カンナバロが歌い、トッティも歌い、一夜にして流行の坊主頭に変貌して現れたガットゥーゾが踊ります。疲れてるだろうになぁ、と選手達に同情しましたが、彼らにそれを義務でこなしているという様子は伺えません。何より選手達自身がその場をいちばん楽しみ、イタリアの国技、サッカーで世界チャンピオンに輝いたことの歓びを、全身から発散させていました。
期せずしていい時にイタリアにいたなぁ、と思います。テレビの前で観戦していたときに、隣にいたベッペさんが生粋のナポリターノ、カンナバロのことをこう言ってました。「彼はいつも明るい。どんなに苦しいときでもいい笑顔だ。それに皆が救われる。だからカンナバロがキャプテンなんだよ」。う~ん、そうかぁ、そうだよなぁ、とその時もブフォンに笑いかけている画面の上のカンナバロを見て、イタリアの人が11人のフィールドの中にいろんなものを見ていることを知ります。おめでとうイタリア! よかったな、AZZURRI!
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11:28 by サンサロ |
BARATTI & MILANO
ワールドカップ、イタリアの試合は知人の家の大きなテレビや、ピッツェリアのもっと大きな液晶モニターで、それはそれはもう全部見ました。残り1試合、日曜日の決勝戦も、取引先の社長の家のフカフカのソファーに沈みこんで、みんなと一緒に足をバタバタさせて声をからしていることでしょう。
それにしても、ドイツ戦の夜は凄かった。ドイツへの積年の怨念が一挙に噴き出しました。ピザとスパゲッティだけじゃないぞ! 勝利の瞬間、ドイツ人のイタリア観を槍玉にあげて、イタリアの友人たちは顔を真っ赤に紅潮させて叫んでいました。試合終了の真夜中12時過ぎから、道路という道路はイタリア国旗を窓から突き出し、間断なくクラクションの洪水を浴びせかけるクルマで、まさに首都陥落、終戦を告げる解放区のようなありさまです。そうです、これはきっと戦争なのです。
決勝戦を前にして、すでに代表選手たちは、凱旋の兵士、英雄です。もの静かで控えめ、黄昏のデルピエロはもちろんいいけれど、僕はどちらかというと、賭博にのめりこんで借金まみれのブフォンや、身体の奥深く流れるアルゼンチンの血を隠しようもない、素浪人のような風情のカモラネージがいいです。フォワードが相手陣内奥深くに攻め込む刹那、減らない借金にうつむくブフォン。アンデスをわたる風、パンパの土埃の中に見え隠れする背番号16、カモラネージ。なんてね、いいです、ワールドカップ、いろんな男がいます。
で、僕はきょう、突然の豪雨の中、仕事の合間を縫って、チェントロの『BARATTI & MILANO』に急ぎました。BARATTIとMILANO、ふたりの創業者の名が店名になっているここは1858年創業、かつての王家御用達、トリノでも老舗のバールです。どうしてもここのコーヒーカップが欲しくて、とうとう買いに行ったのです。手に入れました。四谷の店に飾ります。エスプレッソをダブルで飲むのにちょうど良い大きさ。そういえば、デル・ピエロがひとりポツンとエスプレッソを立ち飲みしていたのもこの店でした。
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09:18 by サンサロ |
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